ゼンショーグループ牛丼チェーン店のすき家で、豚丼関連商品が販売終了されることになった。すき家では牛丼、豚丼、カレー、海鮮・丼、定食を主なカテゴリメニューとしているが、その1角である豚丼関連商品を2019年6月上旬より順次終了することを発表した。

販売終了する豚丼関連商品は以下の通り。
・豚丼
・お子様豚丼
・豚あいがけカレー
・豚皿定食
・豚皿

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実はすき家の豚丼が販売終了されるのは、今回が初めてではない。過去にも販売終了したことがあり、その後復活している。今回、すき家で豚丼が販売終了されるにあたり、豚丼が導入されたきっかけ、過去に販売終了になって復活した背景などを確認した上で、今回の豚丼販売終了の理由を考えていきたい。


すき家の豚丼が始まったきっかけ

すき家の豚丼を振り返る。これは大手牛丼チェーン店業界全体に言えることだけど、2003年(平成15年)12月にアメリカのBSE問題により、牛肉を輸入に頼っていた牛丼チェーン店は調達ができず供給が困難になった。主力商品の牛丼が提供できないというのは経営上のピンチだ。牛丼の代わりになるものとして、できるだけ近い味を出すことができる豚肉を使った豚丼が導入されることになった。

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呼び方は各店によって異なり、すき家では豚丼(とんどん)、吉野家では豚丼(ぶたどん)、松屋では豚めし(ぶためし)とされた。もともとは牛丼の代替品として登場した豚丼だが、牛肉が輸入開始された後もしばらくの間、豚丼は販売を継続した。牛肉よりも豚肉が好き、価格が安い(現在、吉野家は豚丼の方が価格が安い、すき家は豚丼の方が価格が高い)、味付けが好みなど。代替品として豚丼だったが、ファンも出る人気メニューになった。

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すき家は過去に豚丼を販売終了して再開している

2003年12月のBSE問題によりすき家に登場した豚丼だが、2009年4月に販売を終了している。なぜ豚丼を販売終了にしたかと言うと、もともと牛丼の代替品として登場しており、牛肉が供給できる体制になってその役目を終えたという見方もあるが、売上の多い牛丼をより競争力を持たせる価格にしたかったということもあった。

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他チェーン店と競争力を持たせる価格にするためには、豚丼をやめて豚肉の仕入れをなくし、その分の売上を牛丼にシフトさせ、牛肉の仕入れ量を多くすることで、g当たりの仕入れ単価を下げるというのが主な考えだ。また、豚丼関連商品を終了することにより、管理するメニュー品数が減り、店舗作業の効率化が図れる。こうした理由から2009年4月にすき家は豚丼を販売終了した。

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このような経緯があってすき家で販売終了となった豚丼だが、他チェーン店でも同様に販売終了となった。ところが2015年4月にすき家で豚丼が復活。松屋では復活しなかったが、吉野家でも豚丼が復活。すき家では、豚丼をごはんとの相性が抜群なすき家特製だれで仕上げ、味のアクセントにゴマをのせて新たな商品として復活させた。復活の理由はやはり、豚丼を望む声に応えるということ、メニューの多様化を目指すためと思われる。

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そして再びすき家で豚丼関連商品販売終了へ

これまですき家の豚丼の歴史を振り返ってきたが、ここへきて2019年6月上旬からすき家で豚丼関連商品が終了することになった。尚、吉野家では今のところ終了の話は出ていないので、継続の予定だ。折角復活したのになぜまた販売終了となるのだろうか。

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一つの理由は、豚丼と牛丼それぞれの並盛の値段を、すき家と吉野家で比較すると見えてきそうだ。すき家の牛丼並盛は税込350円。豚丼並盛は税込380円。吉野家の牛丼並盛は税込380円。豚丼並盛は税込350円。

この金額を見て気が付くことは、すき家は牛丼の方が30円安く、逆に吉野家は豚丼の方が30円安い。つまりすき家は牛肉の調達に相対的なコスト優位性があり、逆に吉野家は豚肉の調達に相対的なコスト優位性がある。競合他社に差をつける経営を考えるのであれば、すき家は強みがある牛肉調達をより強化する方向性に動きをとったと言えそうだ。

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すき家は豚丼をやめて豚肉の仕入れをなくす分、牛肉の仕入れを多くし、仕入れ量増加によりコスト削減とメニュー数削減による店舗作業の効率化が期待できる。過去にすき家の人手不足問題から従業員に負担がかかり、過酷な労働環境が報道されたこともあるため、店舗作業の効率化は重要な取り組みと言える。すき家は効率化を図るため、持ち帰り弁当を券売機販売に変えている店舗もある。

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というわけで、すき家としては経営上の判断の上で豚丼関連商品を販売終了としたのだろう。一方で豚丼が好きだったのにという客側の声もあるだろう。今後、また客側のニーズに応える形で豚丼の販売が再開されるかもしれないけど、2019年6月上旬よりすき家の豚丼は順次終了となるため、食べることができなくなる。すき家の豚丼が好きで食べておきたいという方は、残りわずかな期間、豚丼を食べに行ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

・2019年6月上旬よりすき家の豚丼関連商品が順次販売終了
・豚丼は牛丼の代替品として登場、その後販売終了と復活
・今回のすき家の豚丼関連販売終了は経営上の判断と思われる