イチロー(本名:鈴木一郎)は日本のプロ野球界でもアメリカのメジャーリーグでも大活躍した選手であることは言うまでもない。打者としてはMLBシーズン最多安打記録保持者262安打、2016年にはMLB通算で3000本安打、走者としては500盗塁、守備でも華麗な動きやレーザービームと絶賛された強肩でゴールドグラブ賞を獲得している。

現在はシアトル・マリナーズ会長付特別補佐のイチロー、ここまで活躍したのは天才の一言だけでは片づけられない。野球に対する真摯な姿勢、努力の積み重ね、目標設定の考え方など、他人よりも優れた取り組みをしたからこそ、ここまで秀でた存在になったと言える。丸善株式会社「イチロー選手の言葉に学ぶセルフ・コーチング」(監修:鈴木信市、著者:庵里直見)のイチローの会見での名言から成功者の秘訣は何か考えていきたい。
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イチローの名言1 「最初は真似みたいなところから始まりますよね。」

2002年シーズン終了後の会見でイチローは「最初は真似みたいなところから始まりますよね。いろんな人のフォームを真似たりして。何となく今の自分がいるという感じはありますよね。」と話している。イチローの振り子打法は独自のスタイルと思われるが、色々な人のフォームを真似ていく中で振り子打法にたどり着いている。

イチローは交通事故で速い球が投げられなくなって投手を諦め打者に専念したが、憧れのバッターのスタイルを真似て徐々に自分のスタイルに変えていった。今はイチローは真似をされる憧れの存在になった。真似をするということは悪いことではない。独自のスタイルを築くためのステップであると考えて憧れの人の真似をして努力を重ねる姿勢が大切だ。

しかしただ真似るだけではだめだ。イチローも最初は真似から始まると言っているが、真似に終始しろとは言っていない。イチローの言葉には続きがある。「同じ練習をしていても、何を感じながらやっているかで、全然効果は違ってくるわけです。同じ形を真似たとしても、そこで本人が何を感じながらやっているかというのが、結果に大きく関わってくると思います。」

ただ真似をするだけではダメだ。真似をする中でも何を感じ考えるかで結果が変わる。仕事の進め方でも語学の習得でも真似るだけではなく、考察や分析があって自分の力にしていくこと、そうすることで何も考えない人と差がついていくのだろう。

イチローの名言2 「今日僕が言いたいのは、目標をもってもらいたいということです。」

2003年4月にシアトルの小学校でこどもたちにイチローは「この中で、将来何かになりたいという人はいますか。今日僕が言いたいのは、目標をもってもらいたいということです。」と話した。イチローは子供のころから具体的な目標を持っていた。中学、高校の全国大会の出場、プロ野球選手になること、お世話になった人に招待券を配って応援してもらう夢など。

イチローの夢を周りには冷ややかな目で見た人もいただろう。だがイチローは自分の夢を実現した。目標設定とその目標に向けて努力を積み重ねてきたからだ。目標設定する人としない人の違いは何か。目標を設定して目指すものが思い描けていれば動機付けになり、何をすべきか分かる。このままでは目標が達成できないのであればもっと努力しなければいけないと努力を重ねる。

目標がない人は達成に向けて何をすべきかイメージができず、漠然と過ごして夢は実現しない。目標を持つことは夢の実現に大きな影響を及ぼすため、目標を持つことをイチローは勧めている。

イチローの名言3 「何かをしようとした時、失敗を恐れないでやってください。」

こちらも2003年4月にシアトルの小学校でこどもたちにイチローが語った言葉だ。「何かをしようとした時、失敗を恐れないでやってください。失敗して負けてしまったら、その理由を反省してください。必ず将来の役に立つと思います。」

また、イチローは「何年野球をやっても勉強することがある」「自分が打った安打数より遥かに多くの悔しさを味わってきました」「どの経験も欠かすことのできない要素」と言っている。つまり、イチローのようにこれだけ野球に打ち込んでいても思うようにいかずに学ぶことがあったり、失敗して悔しい思いをしたりとうまくいくばかりではない。だがそれら全てのことが必要だと考えているのだ。

無駄なことなどない。ミスや失敗も必要でそこから反省して学ぶことが将来のために役に立つと考えている。何もしなければミスも失敗もしない。だがそれでいいのだろうか。失敗から学ぶ姿勢の先にイチローの活躍があったと言える。何かをしようというときに失敗をしないように慎重になり過ぎていないだろうか。失敗してしまった後も嫌なことから目を背け、現実逃避していないだろうか。反省して次に活かせているだろうか。失敗から学ぶ姿勢によって人生は大きく変わってくる。

イチローの名言4 「第三者の評価を意識した生き方ではなく、自分が納得した生き方をしたい。」

2004年1月にイチローは「第三者の評価を意識した生き方はしたくありません。自分が納得した生き方をしたいです。」と語っている。自分の価値観が確立しているから言えることだろう。周りに振り回されることで自分を見失いたくないということが分かる。

イチローは他にも「決して人が求める理想を求めません。人が笑ってほしい時に笑いません。自分が笑いたいから笑います。」「満足の基準は、少なくとも誰かに勝った時ではありません。自分が定めたものを達成した時に出てくるものです。」と語っている。

周りに振り回されて自分を見失っていないだろうか。本当に自分の力を出し切っているだろうか。しっかりと自分の意志を持ち、自分の信じることを実行できる強い力がなければ満足のいく結果は期待できない。自分の理想、満足の基準は何か、改めて考えさせられる。人が望む生き方ではなく、自分がどう生きたいかを考えることが大事だが、見失いがちになっているのかもしれない。

イチローの名言5 「知らないことに出会った時に自分はまだまだいけると思います。」

2004年1月にイチローは「今は、自分が分からないことに遭遇する時や、知らないことに出会った時に『お、自分はまだまだいける』と思います。」と言っている。普通は分からないことに出会うと不安と感じる。イチローもその不安も含めて、苦しいことの先に新しい何かが見つかる、自分の成長につながると考えているのだ。

知らないことに出会うと戸惑うかもしれない。すぐに良い結果が出ないかもしれないが、乗り越えた先には一回り成長した自分になると信じて前向きに取り組むことだ。知らないことに出会うことはピンチではなくチャンスと捉えよう。その姿勢が成功の秘訣なのかもしれない。

まとめ

・イチローの名言1 「最初は真似みたいなところから始まりますよね。」
・イチローの名言2 「今日僕が言いたいのは、目標をもってもらいたいということです。」
・イチローの名言3 「何かをしようとした時、失敗を恐れないでやってください。」
・イチローの名言4 「第三者の評価を意識した生き方ではなく、自分が納得した生き方をしたい。」
・イチローの名言5 「知らないことに出会った時に自分はまだまだいけると思います。」