知りたい情報はインターネットで調べれば大抵のことは分かるし、話題の本はAmazonで購入するから図書館は利用しないという人もいるだろう。だが、図書館を活用する人としない人では大きな差がつくと言える。今回は朝日新聞出版の「図書館超活用術 最高の知的空間で本物の思考力を身につける」(著者:奥野宜之)を読んで大事だと思う点と感想をまとめたので紹介していきたい。

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図書館はあらゆる情報が無料

図書館を使うのにお金はかからない。図書館が無料なのは当たり前と思うかもしれないが、戦前は図書館を利用するのに入館料を取っていた。他の公共施設である博物館や公民館、市民プールなどは料金を取っているのに、なぜ図書館は無料にしたのだろうか。

図書館は重要な教育施設として、貧富の差や年齢に関わらず全ての人に社会教育を受けられるよう、どんな人でも情報にアクセスできるようにしている。世の中にはお金持ちの人は、良い教育を受けられてレベルの高い大学に行きやすいと言われており、貧しい人は教育の機会を得られないと言われることがあるが、図書館は平等に教育の機会が与えられる場だ。図書館を利用すれば教育の機会は得られ、学力を上げたり、教養を身に付けたりすることができる。

書籍や雑誌の貸出、インターネットの利用、音楽や映画鑑賞ができるDVDの貸出、講演会やセミナーなどが様々な情報が無料で提供される。図書館によってサービスの充実さに違いはあるが、様々な情報を無料で提供される図書館を有効活用するかどうかは、身に付ける教養に大きな差が生まれる。

図書館はプライバシーが守られる

図書館は個人情報の取り扱いに敏感であり、利用者のプライバシーに十分な配慮がされている。個別の利用者の貸出履歴データは本の返却時に消えるようになっている。レンタル店やインターネット配信では貸出や閲覧履歴からどのような作品が人気があるか、関連して見られているかなど、情報を活用しようと履歴を残すが、図書館は貸出履歴から情報を活用しようとはしない。どんな本を読んでいるかは個人の内面につながるからだ。

例えば離婚やDVに関わる本を読んでいるということが他人に分かったらどう思われるだろうか?病気、政治活動など、どんな本を読んでいるかは、他人に知られたくないこともある。個人の内面のことが分かる秘密にしたいことは、プライバシーを守ろうと図書館はしているのだ。

このように本の貸出履歴は残ることがないので安心して本を借りられる。この利用者の秘密を守るということを利用して、指名手配犯が逃亡のための交通手段や島でのサバイバル生活の情報集めを図書館で使用していたことがあった。このような場合でも足はつかなかった監視カメラも利用者の顔や本のタイトルは映らないようにされている。指名手配犯の個人情報を守る必要があるかどうかの問題はあるが、図書館の利用は徹底的にプライバシーが守られる事が分かる。

図書館は書店より本のタイトルが多い

書店と図書館の大きな違いは、図書館は営利を目的にしていないことだ。書店は売れる本を置くため、売れない本をいつまでも置くことはない。図書館はどんな本でもよほど状態が悪くならない限り置かれ続ける。そのため、世の中には既に出回っていないような本と出会う可能性もあるのだ。

絶版になっている古い本も置かれているため、お宝のような本を見つける可能性もある。一方で図書館は話題の新刊が入るのは書店と比べて遅い。また、人気のある本は貸出予約が殺到してなかなか借りることができないため、新しくて人気のあるような本を図書館で探すのは難しい。新刊や話題の作品を借りるということに関しては図書館は便利とは言えないところがあるが、古い本や珍しい本、タイトルの多さという点では優れている。図書館のメリットとデメリットを理解して、新刊や話題の作品は書店で買うと使い分けて利用するのが良さそうだ。

図書館は歩き回れるインターネット

インターネットはキーワードで検索し、見たい情報だけを見つけるという傾向が強くなる。インターネットは検索で目的の情報にたどり着くのは早いが、視野を広げたり発想を広げたりすることはしにくい。

一方で図書館は本が並べられているという実体から、歩き回るだけで色々な情報が目に入る。歩き回れるインターネットとして、求めている情報だけでなく、知りたいと自覚していなかった新しい情報と偶然に出会う可能性がある。自分の思い付く枠の中だけで情報を集めるのではなく、これまで思い付かなかったような着眼点や考えができる本を見つけられるかもしれない。

インターネットではほとんどが検索の上位順位に表示される同じような情報で、同じ考えにしかならない傾向があるが、図書館を利用すると他の人とは違う情報に接し、違った発想ができるチャンスと捉えることもできる。他人と差別化してアイデアを出したい、より発展的な仕事をしたいなど、向上心がある人は図書館を利用するといいかもしれない。

図書館は知的作業に没頭できる空間

読書や勉強に集中するには、余計なものを身の回りに置かず、それしかできない状況を作り出すことだ。家にいるとくつろいでしまって集中できないというときに、カフェや図書館に行って勉強せざるを得ない環境に身を置いて、集中して勉強することは効果的だ。

普段と場所を変えることで気分転換にもなる。ずっと同じ場所で読書や勉強をしていては飽きてしまう。図書館は静かで周りも調べ物をしたり、勉強したりしているから、周りの姿を見ることによる刺激も受ける。集中できる環境を自分で作り出すということも大事なことだ。図書館を知的作業に集中する場として活用するのもいい。

まとめ

・図書館はあらゆる情報が無料
・図書館はプライバシーが守られる
・図書館は書店より本のタイトルが多い
・図書館は歩き回れるインターネット
・図書館は知的作業に没頭できる空間