部下はこれまでの経験と同じように、またお目当てのキャバ嬢がキャバクラを辞めた後に連絡が途絶えてしまうことを不安に感じていた。キャバ嬢のこれまでの反応から訪れるであろう今後を予想して悩んでいた。

悩んだ結果、出た結論は出勤日ラストにキャバクラへ行くことだった。これまで振られたキャバ嬢のときは出勤日ラストに行き、翌日からもこれまでと同じようにLINEでやり取りができると思っていて振られてきたしかも10万円以上もするシャンパンを頼んだこともあった。

だが今度のラストはそうはならないようにしたいと強い意気込みがあるようだ部下は最後のキャバクラを宣言し、このお目当てのキャバ嬢の出勤日ラストにどうしても行きたいんだと言ってきた。

ああ、なんて悲しい状況なんだ。これまでのキャバ嬢と同じ結末になることはほぼ決まっている。部下にもそのことを度々伝えてきているのにも関わらず、わずかな可能性にかけたいという訳だ。もうこうなってしまっては部下を止めることはできない。いや、この際こっぴどく振られてこれに懲りてもう二度とキャバクラへ行かなくなるならその方が良いとも思った。4度も同じ経験を繰り返せばさすがにね。

私「分かった。それでラストはいくらくらい使うつもりなんだ?」
部下「最後だから長くいるつもりです。シャンパンも頼むと思います。」
私「気持ちは分かるがお金はあるのか?」
部下「いやないです…ご相談があるのですが助けてもらえないでしょうか?
私「は?助けるってなに?」
部下「お金を貸してもらえないでしょうか?」
私「貸すってことは返さなきゃないんだぞ?借金が上限までいっている状況でどうやって返すんだ?返す当てがないのに借りようとしているのか?」
部下「ラストだからいくら使うか分からないのでお願いしました」
私「そういうことなら尚更貸すことはできない。お前はお金に余裕があると思うと際限なく使うんだから。自分の出せる範囲でお金を使え。」
部下「そうですよね。すみませんでした」

いやいや部下はどこまでバカなんだ。人にお金を借りてまでキャバ嬢のラスト出勤日に喜ばせようと思っていたのか。部下にお金を貸すのは簡単だが、借金が増えて苦しむのは部下だ。それにラストだからとお金を掛けたって結論は変わらないよそのお金はキャバクラの売上とキャバ嬢へのバックに消えて借金が増えるだけ。そんなに派手に散りたいのか。

間違いなくまたクレジットカードで色々な支払いをリボ払いに回し、消費者金融から現金を引き出し、お金を用意してキャバクラへ行くのだろう。これでまた10月も借金が変わらないのは確定したようなものだ本当に愚かだ。自分はお金を貸すことはできないが、部下が自分の可能な範囲で用意したお金でキャバクラへ行きこれで最後になるなら…最後になるのか?

つづく