楽しそうな部下に水を差したことで、部下の浮かれっぷりは少し落ち着いた。部下は元気がなくなったように見えた。私が投げかけた言葉で嫌な気分になっただろう。だが少しは考え始めたようだ。キャバ嬢のラスト出勤日に行くのは変えるつもりはなさそうだが、今までと同じようにお金を使うことにはためらい始めていた。
部下「ラスト出勤日は何時間くらいいたらいいでしょうか?シャンパンはいくらくらいのを頼めばいいでしょうか?」
私「それは自分で決めることだ。だけどお金を使えばいいって訳でもないだろう?お金を使うのはあっという間だしキャバ嬢は喜ぶだろうよ。だけどそのときだけだよ?」
部下「分かっています」
私「本当に分かっている?シャンパンで数万円簡単に頼むだろう?普通に考えて数万円の食事、飲み物ってものすごい高級料理だぞ?ランチで数百円高いのを選ぶのだってためらうのに、どうしてキャバクラだとそんなに金銭感覚がなくなるんだ?」
部下「そう言われると確かにそうですね」
私「そうだろ?どう考えてもおかしくなっているんだよ」
部下「でもおねだりされたら断れないと思います」
部下は自分でもおかしくなっているのを気付いてはいるようだった。だが頼まれると断れない自分自身の気弱な性格も分かっていた。押しにも弱い。自分に自信がないからお金の力に頼るしかなかったのだ。そういう人間はキャバクラなんかに行くもんじゃないよ。
部下は悩んでいて答えを求めているようだった。私は部下に対しこう言った。
私「ラスト出勤日はどうしても行きたいようだから止めない。行くなら1時間って訳にもいかないだろう。どうしたらよいか決めて欲しいなら決めるけど?」
部下「教えてください」
私「キャバクラには2時間いてシャンパンは自分からは言わない。もし頼まれたら一番安い1万円」
部下「でも1万円のシャンパンは嫌がられると思います」
私「嫌がられたら、正直にお金がないから本当は頼めないんだけど頑張って1万円のを頼んでいるからごめんねと言えばいいよ。そう言っている人に対し、嫌とは言わない」
部下「分かりました」
部下はコミュニケーションの取り方が下手くそなのだ。もうお金がないのはばれているんだから、正直にお金がないことを伝え、自分ができる精一杯のことをしていると相手に分からせればそれ以上無理な要求はしてこない。気持ちも相手に伝えられ、出費も抑えられるのだから一番良い対応だろう。
本当はキャバ嬢のラスト出勤日だろうと借金がある状況で行くべきではない。だが未練が残るのだろうから後悔しないように思い切り振られればいい。だけど最悪のことが起きないよう覚悟を決め、被害も最小限にしてというのが部下に対してせめてものできることだ。さてこれから先どうなるのだろうか。
おわり
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